歴史の中の病と医学 pdf epub mobi txt 电子书 下载 2025

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日本の伝統医学の発展を決定的に方向づけたのは中国医学の受容である。その基礎概念－気血・陰陽・五臓六腑など－を考えても、また湯液・鍼・灸などの治療法をみても、中国医学の絶大な影響が明白である。しかし、この中国から輸入した概念や技法で築き上げられた日本の医学は、けっして中国医学と同一のものにはならなかった。五行循環のような、中国の医者たちが重んじたパラダイムは、日本では比較的軽視され、逆に、腹診のような、中国では周辺的な技法が、日本では欠かせない診断法になった。この二例が示すように、日中の医学を丁寧に比べてゆくと微妙な「ずれ」－重点の移動－が随所に窺える。こうした重点移動の文化・社会的背景と歴史的変遷を考究するのが、一九九四年から一九九七年にかけて国際日本文化研究センターで行った共同研究「歴史の中の病と医学－日本を中心に」の主たる目的であった。本書はその報告である。

山田 慶兒（やまだ けいじ、1932年3月7日 - ）は、日本の科学史家。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。専門は、東アジア科学史。福岡県出身。

1955年　京都大学理学部卒業

1959年　京都大学大学院文学研究科西洋史学専攻修士課程修了

1959年10月　京都大学人文科学研究所助手

1966年4月　同志社大学工学部助教授

1970年5月　京都大学人文科学研究所助教授

1978年4月　京都大学人文科学研究所教授

1989年3月　京都大学退官

1989年4月　国際日本文化研究センター教授

1995年2月　京都大学名誉教授

1997年3月　国際日本文化研究センター名誉教授

龍谷大学客員教授も務めた。

栗山茂久

1954年、東京都生まれ。 国際日本文化研究センター助教授。著書に『歴史の中の病と医学』（共編）思文閣出版, 1997年。 The Expressiveness of the Body and the Divergence of Greek and Chinese Medicine (New York: Zone Books, 1999)。

序論に代えnて 日本医学事始　－予告の書としての『医心方』 　（山田慶兒） nn１　病の中の歴史 n＊肩こり考 n　　痃癖／滞りの病理学／揉まれる凝り／身体感と時間感 （栗山茂久） n＊疝気と江戸時代のひとびとの身体経験 n　　医学理論のなかの疝気／経験された疝気／信仰と身体観 （白杉悦雄） n＊狐憑きの心性史 n　　憑依するものの時代的変遷／憑依の形態／憑依の両義性／憑依がはたした機能／狐憑きの今後 （昼田源四郎） nn２　日本の医学へ n＊劉医方という誤解－江戸前期医学史をとらえるための一視点 n　　富士川游による日本中世医学史の枠組／劉医方とは何だったのか／饗庭東庵学派の系譜／饗庭東庵学派の医学を窺う資料 （石田秀実） n＊三帰と道三　－曲直瀬流医学の形成 n　　三帰の能毒／三喜と三帰 （桜井謙介） n＊後藤艮山の医学について n　　艮山医学の枠組／艮山の医学の歴史的背景／艮山の医学革新と残した考え （梁〓*1） n＊目医師達の秘伝書と流派 n　　眼科秘伝書の概略／一五〇〇年代の眼科秘伝書の特徴／手術器械図譜を記載した秘伝書・眼科書の特徴 （奥沢康正） nn３四海を超えて n＊「紅毛流外科」の誕生について n　　「魂には祈りを、身体には薬を」－西洋医学との最初の出会い／衰退の後／隔離と接近／カスパル・シャムベルゲルとカスパル流外科／シャムベルゲル以降 （ヴオルフガング・ミヒェル） n＊近世前期朝鮮医薬の受容と対馬藩－医学書・薬種・医師についてn　　医学書／薬種／医師 （田代和生） n＊江戸期渡来の中国医書とその和刻 n　　渡来中国医書の検討／和刻中国医書の検討／中国医書の渡来と和刻の比較検討／渡来中国医書の伝承と逆伝 （真柳誠） nn４　診ることと癒すこと n＊初期腹診書の性格 n　　初期腹診書のテキスト／各書の構造と特徴／討論 （廖育群） n＊看護人の系譜 n　　小石川養生所の「看病人」／長崎養生所の「看病人」／病院の「看頭」／看病・看護・介抱・付添の関係図式 　（新村拓） n＊プラセボの日本受容－Placeboはのりと薬だn　　Placebo=偽薬が日本で引き起こしている問題／プラセボにかんする研究略史－インフォームド・コンセント取得において／日本におけるplaceboのコンセプトと用語の導入／東洋の医学の歴史からみると （津谷喜一郎） nn５　体内の風景 n＊一七、一八世紀の日本人の身体観 n　　日本古来の身体観／和漢書の人体内景図／江戸初期の身体観／一七世紀の西洋医学の影響／紅毛外科書の身体観／西洋解剖書の翻訳／山脇東洋の観蔵／『解体新書』の影響 （酒井シヅ） n＊医学において古学とはなんであったか～山脇東洋の解剖学と職業および学問としての医の自立n　　山脇東洋の医学史上の位置／人体解剖の動機／啓蒙主義と徂徠学／『周礼』と医学の理念／周漢の違法と帳仲景／医学理論への批判／医学の実践の道／九藏説と観藏／職業および学問としての医学 （山田慶兒） n＊人体内景図の脂〓*2・脂膜について n　　中国の人体解剖図／解剖図の中の脂〓*2・脂膜／東洋における膵蔵の認識／近世解剖図の脾医膵の位置／中国の内景図で脂〓*2・脂膜の記載の無いものについて （高島文一） n＊江戸時代　解剖の事跡とその反響 n　　東洋観蔵の意義／江戸時代における解剖の事跡と反響 （杉立義一） nn６　もうひとつの医学 n＊日本密教医学と薬物学 n　　密教事相としての五宝・五薬・五香／五薬各種の医学的分析／五香の薬学的分析／密教医学と丹薬／外丹方と内丹法の関係／内外護摩法と内外丹方の関係 （二本柳賢司） n＊西チベット、ラダックにおける病と治療 n　　アムチam-chiの医学／村人にとっての病い／村人の信仰と病い／病者を治療者として社会化できる疾病観 （山田孝子） n＊ふたつの「預言者の医術」 n　　「預言者の医術」とは？／イスラム法というもの／伝承（ハディース）の性格／ふたつの「預言者の医術」 （三木亘） n＊『斉民要術』のなかの家畜の病 n　　家畜の病をめぐる状況／『斉民要術』のなかの家畜の病 （小林清市） n
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