序 章 本書の目的と視角
(1)「中世」理解をめぐって
(2)原勝郎氏の研究と文化史學・「國民」
(3)中世國傢論と中世王権
(4)中世社會の成立とその畫期
(5)個別分野史の概観
(6)本書が目指すもの
(7)本書の構成
第Ⅰ部 新たな社會の形成と中世王権
第1章 中世王権の創齣とその正統性
—— 中世天皇の特質
はじめに
(1)中世王権の特質と研究の課題
(2)政治史研究の課題
(3)王権としての正統性
第1節 天皇の変貌と承平・天慶の亂
第2節 天皇を権威化する神々
第3節 長元4年の斎王託宣事件再考
第4節 大日如來・アマテラス・天皇 —— 王権と密教
第5節 中世日本紀の形成 —— 神統譜をめぐって
第6節 神國観と三國観 —— 中世日本の世界観
第7節 中世人の國土観と世界認識
第8節 アマテラスの変貌と伊勢神宮 —— 天神から地神へ
第9節 一國平均役 —— 伊勢神宮の民衆的基盤の形成
おわりに
第2章 藤原道長と院政
はじめに
第1節 藤原道長の政治 —— 摂関傢の形成
(1)兼傢による神祇祭祀整備 —— 道長政治の前提
(2)藤原道長政権の時期區分とその特徴
(3)道長による仏教政策
(4)受領をめぐる政策
(5)大殿・入道相國道長
第2節 法成寺の創建と「権者」道長
(1)治安4年の舎利會の行進
(2)法成寺の特質と宗教的意義
(3)造営事業遂行の意義
(4)聖徳太子・弘法大師信仰と道長
(5)道長の王権
第3節 院政の成立
(1)二神約諾神話の確立と摂関傢 ——「魚水閤體ノ禮」
(2)藤原頼通の政治とその歴史的意義
(3)院権力の確立過程 —— 白河上皇による院政の確立
(4)法勝寺からみた院権力と天皇 —— 白河上皇の王権構想
(5)〈道長の王権〉と院権力
おわりに —— 中世都市京都の形成と権門體製の特質
第3章 中世宗教支配秩序の形成
はじめに
第1節 中世神祇秩序と中世神観念の形成
(1)畫期としての承平・天慶の亂
(2)神々の変貌と天皇
(3)中世神観念の成立
第2節 王権による支配秩序の形成 —— 新たな神仏習閤の展開
(1)法會の大衆化
(2)神仏習閤研究の課題と古代の神仏習閤
(3)新たな神仏習閤の展開と本地垂跡説思想の確立
第3節 受領の活動と國內宗教秩序の形成
(1)新たな國內神名帳の作成
(2)受領による任國支配の展開
(3)諸國における神仏習閤の進展と國鎮守の形成
(4)重層的な國內宗教秩序の形成
(5)民衆支配イデオロギーの確立
おわりに
第4章 大規模造営の時代
はじめに
第1節 〈火災の時代〉——〈大規模造営の時代〉の幕開け
(1)火災の発生と公事の夜儀化
(2)仏事法會の変化
(3)新たな文化の形成
第2節 大規模造営を支えた実務組織
(1)研究史の整理と課題
(2)修理職・木工寮の変遷
(3)寺院伽藍の復興
第3節 大規模造営での工人の活動
(1)工人・技術者集団の編成
(2)大工の役割とその技術力
第4節 造営方式の変遷と社會的意義
(1)摂関期における內裏造営経費の調達
(2)土禦門殿造営と受領統製
(3)造営事業遂行の政治性
(4)受領の活動と在地社會の変容 —— 莊園製成立の基盤形成
第5節 大規模造営の盛行 —— 院政期
(1)永承の興福寺再建
(2)院政期における造営事業の特質
(3)區割り造営方式 —— 基壇の版築
(4)造國製の形成
おわりに —— 院政期造営事業の社會的意義と〈大規模造営の時代〉の終焉
第Ⅱ部 中世王権と宗教
第1章 日本中世の神観念と國土観
はじめに
第1節 勝覚筆『護持僧作法』の世界 —— 密教僧による世界観
(1)『護持僧作法』の書誌と解題
(2)『護持僧作法』の構成と成立
(3)『護持僧作法』の歴史的意義 —— 護持僧の活動と神仏習閤
(4)護持僧の確立とその活動
第2節 法會に來臨する神々 —— 顕教法會の世界観
(1)神分作法と神名帳
(2)惣社と都市平泉
(3)民衆と神々 —— 國內神名帳と起請文言
おわりに —— 神國思想への展望
【史料翻刻】『護持僧作法』(隨心院聖教 第一七箱二號)
第2章 中世國傢と仏教
はじめに
第1節 平安初期の顕教
(1)平安初期仏教の再検討
(2)桓武朝の仏教政策
(3)9世紀の顕教 —— 竪義と五階・三會の形成
第2節 摂関期の仏教
(1)仏教政策の転換 —— 五階の解體
(2)摂関期における寺內法會の整備
(3)摂関期の國傢的法會 —— 論義會の整備
(4)「本願聖霊」と王法仏法相依論の形成
第3節 院政期仏教秩序の形成と展開
(1)院政期の國傢的法會
(2)院政期における寺內法會の整備
(3)諸宗交流の時代 —— 顕密仏教の確立
第4節 顕密體製の終焉
(1)鎌倉期における國傢的法會
(2)後醍醐天皇による政策転換 —— 禦願寺・國傢的法會の解體
(3)顕密體製の終焉
おわりに ——〈中世〉を考える
第3章 法勝寺創建の歴史的意義
—— 浄土信仰を中心に
はじめに
第1節 白河地域の景観とその特質
(1)摂関期の白河 ——法勝寺前史
(2)11世紀末・12世紀前半の白河
(3)常住する法勝寺供僧
第2節 浄土信仰・葬送・追善と法勝寺
(1)法勝寺阿彌陀堂・法華堂 —— 堂衆・遁世僧の活動
(2)仏塔に埋葬される院 —— 白河上皇の死と葬送
(3)白河上皇の追善仏事
むすびにかえて —— 法勝寺の歴史的位置
第4章 〈王〉の死と葬送
—— 穢と學侶・聖・禪衆
はじめに
第1節 鳥羽院の臨終と葬送
第2節 「臨終行儀」と善知識 —— 遁世僧の活動
第3節 葬送と穢観
第4節 山陵・仏堂と穢
第5節 墓所と三昧堂
第6節 禦願寺と山陵 —— 陵寺の変化
第7節 法華堂と法華懺法
おわりに —— 禪律僧と三昧・三昧僧
第5章 中世神話の創造
—— 長榖寺縁起と南都世界
はじめに
第1節 長榖寺の本寺をめぐって
(1)興福寺による支配の進展
(2)大乗院による末寺支配をめぐって
第2節 もうひとつの長榖寺信仰 —— 大念仏衆の活動をめぐって
第3節 諸縁起類の生成
(1)研究史の概要
(2)『密奏記』のテキスト構成
(3)伝道真筆『縁起文』・申狀と「行仁上人記」・「流記」
(4)「菩薩前障子文」と2つの長榖寺
第4節 中世南都世界の形成と長榖寺
(1)二神約諾神話・第六天魔王・天神道真
(2)南都における中世の到來
おわりに
第三部 中世王権の財政構造
第1章 経費調達製度の形成と展開
はじめに
第1節 一國平均役の確立過程
(1)一國平均役賦課の開始
(2)11世紀・12世紀前半における一國平均役
(3)一國平均役の確立
小 結
第2節 地下官人の成功
(1)地下官人の成功手続
(2)國傢財政上の変化
(3)成功製の中世的展開
小 結
第3節 受領の成功
(1)受領成功の手続
(2)院政期における受領成功の変化
(3)成功経費の齣所
(4)造國製の成立
小 結
第2章 造営経費の調達
はじめに
第1節 內裏・裏內裏の造営
(1)內裏の造営形態
(2)裏內裏の造営形態
第2節 禦願寺の造営
(1)摂関期における禦願寺造営 —— 四円寺を中心に
(2)造國方式と所課國方式 —— 成功と國宛
(3)院政期における禦願寺造営
第3節 経費調達よりみた平安後期國傢財政
(1)國宛(「諸國所課」)をめぐって
(2)國傢財政の変遷とその特質
第3章 莊園製と知行國製
はじめに
第1節 中世莊園製の形成過程 ——〈立莊〉再考
(1)11世紀の立莊 —— 領域型莊園の成立
(2)平等院領の成立 —— 領域型莊園形成の第二段階
(3)延久の莊園整理再考
(4)寛治4年の賀茂社領の立莊
(5)院政初期の立莊の特質
(6)備後國大田莊の立莊と金剛峯寺領大田莊の成立
(7)保元新製と中世莊園製
小 結
第2節 國司製度の変質と知行國製の展開
(1)「院宮分國」をめぐって
(2)國司製度・受領製の変遷
(3)知行國製の確立過程
小 結
第4章 中世王権・國傢の形成と財政構造
はじめに
第1節 一國平均役 —— 中世王権の確立過程
第2節 在地社會の変容と莊園製・知行國製の形成
第3節 私的奉仕の製度化 —— 道長から院権力へ
終 章
注
あとがき
図錶一覧
事項索引
人名索引
· · · · · · (
收起)