いまかいまかと怯えながら,來るべきものがいつまでも齣現しないために,気配のみが極度に濃密に尖鋭化してゆく――このような生の不安と無気味な幻想におおわれた夢幻の世界を稀有の名文で紡ぎだした二つの短篇集を収める.漱石の「夢十夜」にも似た味わいをもつ百間(一八八九―一九七一)文學の粋. (解説 種村季弘)
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